1匹の雨蛙が、子供の膝に手を乗せて語りかけようとします。すると蛙さんに注意を促す(うながす)声がします。

20.リスと雨蛙と子供との対話

L'ENFANT ET LES SORTILEGES


 




木の上からリスが雨蛙に声を掛けます。
「危ないよ!かごに気を付けて」

このリスはこのオペラの出だしの方で
子供に突っつかれて必死になって
かごから逃げ出していたのです。
蛙が無防備に凶暴な子供に近づいたので
注意してあげたのです。

蛙はケケケケケと答えます。
鳴き声のkeが、フランス語のqueに引っかけてあるみたいです。
最後はケスクサ?(それ何?)と聞こえます。

「牢屋だよ、かごって牢屋のこと
鉄の棒で突き刺されるよ
僕は何とか逃げられたけど
君のそのヌルヌルした手じゃ無理だよ」

「ナナナナ何言ってんだよ
かごなんて知らないよ
飛んでくるハエなら知ってるけどね
ペロッ!」

最後のペロッは舌を伸ばして
飛んできた ハエを食べた音。
ペロッの所のオーケストラも面白いでしょ?

お気楽な蛙に呆れて(あきれて)
リスは蛙に最後の警告を発します。
「僕と同じ運命になっちゃうぞ!」

これを聞いていた子供がリスに言います。
「リス君、あのかごは君の細かい動きを見たくて仕掛けただけだよ。」
「君の素敵な瞳をじっくり見たくてさ。」

リスが答えます。
「そうかい、僕の素敵な瞳を見るためかい。」
「僕のこの瞳に移ったものを君は知ってるかい?」
音楽がまたワルツになります。
「自由な空
自由な風
羽があるみたいに飛び回る僕の兄弟たち
その全部が写っていたのさ
この僕の瞳に
今は涙でいっぱいのこの僕の瞳に。
君には見えるかい? 」

リスのこの訴えの間に
リスの仲間たちや他の生き物たちが
楽しげに姿を現し、お互いにじゃれ合っています。

ワルツは途切れて、
子供はリスに答えます。
(と言うより、ほとんど独り言のように)
「みんな愛し合ってる
幸せそうだなー、
僕にはお構いなしに」
ネコたちも出てきて、お互いにじゃれ合います。
ネコの音楽が聞こえますね。
でも、そのネコたちも二人だけでどこかへ消えてしまいます。
「みんな愛し合ってる
僕にはお構いなしに
僕だけひとりぼっち・・・」
子供は無意識に叫びます。
「ママ!」



この叫びはママに届くのでしょうか。

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