
探している本は見つからず
目に入ったのは算数の教科書でした。
「みつからないや、
あるのは面白くない本ばかりだよ。」
思わず蹴飛ばしてしまいます。
すると今度は
蹴飛ばされた教科書から
頑固そうなおじいさんが出てきます。
算数の先生でしょうか。
いきなり問題を出し始めます。
この老人、子供を見つけると近づいてきました。
子供大慌て
「やばい、算数だ!」
今度は教科書から数字たちも出てきます。
みんなで九九を始めますが間違いだらけ。
きっとこの子は算数が大嫌いだったんでしょうね。
九九が一段落すると
今度は単位の勉強です。
「ミリメートル、センチメートル・・・・・」
老人も数字たちも踊りながら
子供をその渦(うず)の中に引きずり込みます。
文章題も出るわ、九九も出るわで大混乱になってきます。
調性も何度か突然変わったりしてます。
オーケストラも全員の大合奏。
ついに子供は目を回して倒れてしまいます。
老人と数字たちは段々と声をひそめ
徐々に退場していきます。
あれほどの大音量だったオーケストラも一気に弱まり
最後はコントラバスの半音階でまた沈黙。

沈黙の後に必ず事件が
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