トーントトントン、トットトトントン
トーントトントン、トットトトントン
太鼓の音に乗って
不思議な行列が歩いてきます。
みな沈んでいます。
まず男性グループが歌います。
「さようなら、娘さんたち」
すると女性グループが応えます。
「さようなら、男の方々」
さらに交互に歌います。
「もう羊たちをあの草原には連れて行けなくなってしまった。」
彼らは誰でしょう？
この行列はどこから来たのでしょう？

彼らは羊飼いの男女です。
さっき男の子が破いた壁紙には
模様として羊飼いや羊たちやその番をする犬などが描かれていたのです。
だから、彼らは子供に破かれた
壁紙の切れ端の中から出てきたのです。

男の子がビリビリに引き裂いてしまったから
羊も
男の羊飼いたちも
女の羊飼いたちも
お手伝いの犬たちも
みんなバラバラになってしまったのです。
その嘆きを歌っているのです。

「あの子が生まれたとき、
僕らに一番最初に笑いかけてくれたのに、
それなのに
今はその僕らをズタズタに引き裂いた」
と嘆いているのです。
「彼が寝ている間も
ずっと私たちの犬が彼を見守っていてあげたのに、
それなのに
今はその僕らをズタズタに引き裂いた 」
と嘆いているのです。

彼らは男の子の前で自分たちの悲しみを訴え
やがて消えていきます。

今度は男の子も泣いています。



でも、引き裂かれたのは壁紙だけではありませんでした・・・・・

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