
ディン、ディン、ディンは、古時計の時を告げる音でした。
そう、今度歌い出したのは、大きな古時計さんです。
さっき子供に振り子を取られてしまったので、振り子の動きが早いのです。
だから、ディンディンディンとせわしなく動いてしまう。
時計だから、几帳面な性格なのでしょう、
正しい時が刻めないと嘆きます。
正しい時刻が刻めないから恥ずかしくて仕方がないと嘆きます。
ここでは、時計の律儀な感じを出すためか、リズムがはっきりと刻まれます。
弦のピチカートが印象的です。
途中で、時計さんが、まだ子供が良い子だった頃のことを思い出し
急に高音になって、感傷的になるところでは、
このピチカートが、ハープに代わります。
ほんの3小節だけなんですけれど、
じっくり聴くと、空気がさーっと変わったのを感じます。
時計さんも、子供に壊されたことを嘆きながら
段々と力が弱まっていき、やがて消えていきます。
振り子さえ取られなければ、こんな恥ずかしい思いもしなくて済んだのにと
悲しみを歌いながら、ついには動かなくなってしまいます。
今は殆どの時計は電池で動くけれど
昔の時計はゼンマイを巻いて、
その力を利用して振り子を振らせて
その定期的な動きで針を動かしていたのです。
ゆっくりゆっくり、チクタクチクタクと。
平井堅の歌でみんなも知ってるかな?
そう思うと、振り子を取られてしまった時計さんの悲しみ
皆さんにも想像つきますよね。

さて、時計が去り、今度は何の魔法?
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