まったりした踊りの後は、今度は間髪をいれず、いきなり早いテンポに様変わり。ディン、ディン、ディンとすぐに歌も始まります。ディンディンディン・・・、さて、これは何の音?

05.柱時計の嘆き

L'ENFANT ET LES SORTILEGES


 




ディン、ディン、ディンは、古時計の時を告げる音でした。
そう、今度歌い出したのは、大きな古時計さんです。
さっき子供に振り子を取られてしまったので、振り子の動きが早いのです。
だから、ディンディンディンとせわしなく動いてしまう。
時計だから、几帳面な性格なのでしょう、
正しい時が刻めないと嘆きます。
正しい時刻が刻めないから恥ずかしくて仕方がないと嘆きます。
ここでは、時計の律儀な感じを出すためか、リズムがはっきりと刻まれます。
弦のピチカートが印象的です。
途中で、時計さんが、まだ子供が良い子だった頃のことを思い出し
急に高音になって、感傷的になるところでは、
このピチカートが、ハープに代わります。
ほんの3小節だけなんですけれど、
じっくり聴くと、空気がさーっと変わったのを感じます。
時計さんも、子供に壊されたことを嘆きながら
段々と力が弱まっていき、やがて消えていきます。
振り子さえ取られなければ、こんな恥ずかしい思いもしなくて済んだのにと
悲しみを歌いながら、ついには動かなくなってしまいます。
今は殆どの時計は電池で動くけれど
昔の時計はゼンマイを巻いて、
その力を利用して振り子を振らせて
その定期的な動きで針を動かしていたのです。
ゆっくりゆっくり、チクタクチクタクと。
平井堅の歌でみんなも知ってるかな?
そう思うと、振り子を取られてしまった時計さんの悲しみ
皆さんにも想像つきますよね。



さて、時計が去り、今度は何の魔法?

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