
お母さんからお目玉を食らった子供は、突然開き直るのです。暴れ出すのです。
そう、この音は、子供が地団駄(じだんだ)踏んでいる音なんです。
そして、歌い出します。
「いいもん、お腹なんか空いてないもん。一人でいるのが好きなんだもん。みんな大嫌い!」
「メシャン、メシャン、メーーシャン」と聞こえる所がありますね。
ここは、「悪い子、悪い子、僕は悪ーーい子」と言っているのです。
そして、まず陶器のポットとカップを壊します。
次にかごに入っているリスを突っつき、ネコをいじめて
暖炉を引っかき回して、やかんを蹴飛ばし、ひっくり返してしまいます。
あたりには灰と煙が立ちこめます。
「オラー、オラー(やったー、やったー)」と子供は有頂天です。
今度は暖炉の火かき棒で壁紙を破きます。
そして、次は大きな古時計の振り子を外してしまいます。
さらには机の上の本とノートをビリビリに破いてしまいます。
「やったー、これで勉強もなくなった。僕は自由だ、自由で悪い子だー!」と大得意です。
このあたり、オーケストラは弦がお休みで
管楽器とピアノとハープがガチャガチャとした感じをよく表していますね。
みなさんはセンダックという人が書いた
「かいじゅうたちのいるところ」という絵本をご存知ですか?
マックスという男の子の話しなんですが、
「知らない」と言う人は
いつか読んでみてください。
もう読んだことある人は、思わずニヤリって感じでしょう。
ここまでの話し、何となく似てますよね。
さて、一暴れした子供は疲れて、傍らのソファに腰掛けようとします。
すると・・・
バスーンが、ボベッ、ボベッと、切れ切れのフレーズを奏でます。
これは、何と、
ソファーが動き出している様子を表しているのです。

ここからいよいよ、魔法の始まりです。
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