お母さんが退場し、しばしの沈黙・・・。すると、いきなり、すごい音がします。これまで、全体に静かな響きの連続だったので、この一撃は強烈です。いったい何の音でしょう?

03.子供の憂さ晴らし

L'ENFANT ET LES SORTILEGES


 




お母さんからお目玉を食らった子供は、突然開き直るのです。暴れ出すのです。
そう、この音は、子供が地団駄(じだんだ)踏んでいる音なんです。
そして、歌い出します。
「いいもん、お腹なんか空いてないもん。一人でいるのが好きなんだもん。みんな大嫌い!」
「メシャン、メシャン、メーーシャン」と聞こえる所がありますね。
ここは、「悪い子、悪い子、僕は悪ーーい子」と言っているのです。
そして、まず陶器のポットとカップを壊します。
次にかごに入っているリスを突っつき、ネコをいじめて
暖炉を引っかき回して、やかんを蹴飛ばし、ひっくり返してしまいます。
あたりには灰と煙が立ちこめます。
「オラー、オラー(やったー、やったー)」と子供は有頂天です。
今度は暖炉の火かき棒で壁紙を破きます。
そして、次は大きな古時計の振り子を外してしまいます。
さらには机の上の本とノートをビリビリに破いてしまいます。
「やったー、これで勉強もなくなった。僕は自由だ、自由で悪い子だー!」と大得意です。
このあたり、オーケストラは弦がお休みで
管楽器とピアノとハープがガチャガチャとした感じをよく表していますね。
みなさんはセンダックという人が書いた
「かいじゅうたちのいるところ」という絵本をご存知ですか?
マックスという男の子の話しなんですが、
「知らない」と言う人は
いつか読んでみてください。
もう読んだことある人は、思わずニヤリって感じでしょう。
ここまでの話し、何となく似てますよね。
さて、一暴れした子供は疲れて、傍らのソファに腰掛けようとします。
すると・・・

バスーンが、ボベッ、ボベッと、切れ切れのフレーズを奏でます。
これは、何と、
ソファーが動き出している様子を表しているのです。



ここからいよいよ、魔法の始まりです。

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